飛騨高山。郷土料理から日本海の魚まで幅広く堪能できる居心地の良い店

観光・まちづくり

飛騨観光を楽しむなら高山は外せません。今なら春の息吹が感じられるし、夏は奥飛騨の新穂高ロープウェイで山の涼しさを満喫できる。秋は紅葉が美しく、冬はしんしんと冷え込む中で温泉を堪能する楽しみもある。そう、一年中楽しめる、いい場所だと思います。

■雪道を歩いて向かった地元の居酒屋
そんな高山に僕が初めて訪れたのは2005年真冬の12月でした。周辺の下呂、古川、白川郷をレンタカーで周りながら取材し、ようやく辿り着いた高山のホテルでほっとひと息。なんせ、この地方の冬はかなりの雪なので、運転はかなり神経を使い、へとへとになっていたのでした。

白川郷。ここに辿り着くまでの道は怖かった

とりあえず身体を温めようと温泉に入り、部屋に戻り窓の外を見ると、雪はまだ結構降っていました。

「腹減った」

少し元気になったら、お腹が駄々をこねだした。けれど、泊まっていたのはビジネスホテルなので外に食事に出るしかなく、ホテルの人に相談し、紹介されたのが「あじ平」さんでした。

■刺し盛のお得感に満足
店内はちょいと昭和レトロ。ほぉ、変な嫌味もないし、面白いなぁ。昭和のおじさんとしては、違和感なく入ることができ、カウンター席に陣取った。さて、何食べますか。

メニューをざっとチェックすると、日本海の海の幸と飛騨高山の郷土料理に力を入れているらしい。こういう時、僕が必ず最初に頼むのは刺し盛。店員さんに相談し、1000円ほどの7点盛をお願いしたら、登場したのがこちら。

ほぉ…。思った以上によい感じです。見た目の美しさと魚の量が計算されつくしている感じとでもいいましょうか、魚好きな僕はこれでエンジンがかかりました。ビール片手にどんどんいただきます。

じゃあ、次は郷土料理ってことで、朴葉味噌。これが鉄板の上に乗って、なかなかのアチチでして、実は猫舌の僕は、ちびちびと食べるのが精一杯。でも、味噌なので味は濃い目なわけで酒はどんどん進んでしまいます。

続いて砂肝とキノコの陶板焼きも頼んでいたため、こちらもかなり熱め。そして味は濃い目でまた酒が進んでしまう。

ということで、最後はお腹をほっくりさせたくたジャガイモのホイル焼きとげそ唐揚げを注文。ここでやっと胃が安らいだ感じでした。

とはいえ、悪い意味じゃないのですよ。どの料理もとても美味しかったし、かなりお酒を呑んだのに、値段は3000円だったはず。いい店見つけたと、ホテルまでの足取りは、雪道でも軽かったのでありました。

■ネット情報に踊ってしまう
第一印象が良かったので、その後も高山に行く度、あじ平のカウンターでちびちびやっていた僕ですが、ある年、一度だけ浮気をしたことがありました。妻と旅行に出て高山に泊まった際、ネットで調べて評判が高かったお店に行きたいとせがまれまして…。

その情報によると、刺身が豪華らしい。若いお客さんも多いとも。HPを見たけれど、どうも値段が高そうだ。うーん、あまり気乗りしないまま、けれど一度は入ってみるかとお試ししたわけです。

まずはビール。これが量の入らない細いグラスで出てきた時点でうん? と思いました。そして、最初に注文した2600円もする刺身の盛り合わせを見てずっこけました。

あのー、見た目は確かに豪華に見えるけれど、巨大な器に乗っているのは魚のアラと飾りばかり。肝心の刺身はその脇に2切×7ほどちょこんと乗っているだけ。生のアラを食べに来たんじゃないのよね、僕たちは……。それに、このアラ、使いまわしてないか? この時点で妻と顔を合わせ、「出よう」とアイコンタクト成立。

他にも2品ほど小さな注文をしていたので、それを平らげたら、酒の追加はせず退店です。すると、お会計はふたりで6000円越え。典型的な観光客向け商売かな。まぁ、こういう雰囲気が好きな人もいるのでしょう。

■もう浮気はしません
この店の滞在時間は30分くらいでした。当然ふたりとも消化不良です。なので、やっぱり足が向くのはあじ平さん。いつものカウンターに座り、刺し盛を注文したことは言うまでもありません。そして出てきたのが、こちら。

これで1000円なのです。先ほどの店とは見た目も味もコストパフォーマンス、全てにおいて段違いです。思わず、浮気をしてゴメンなさいと謝りました。

そんな僕らを、いやしてくれたのは、郷土料理でもある漬物ステーキです。これがまたハマるんですよ。ちょいと酸味の利いた漬物をバターで炒め、最後に玉子でとじる。考えた人、偉いです!

他にも骨付き鶏の唐揚げや巨大茶わん蒸し。そして日本酒にチューハイもほどほどに飲んで、お会計はふたりで5000円ほど。この差は歴然だと思います。そして、あじ平さんの良さがよく伝わってきた出来事なのでもありました。

旅先だと一発勝負が多いけれど、店選びを失敗するのは悔しいですね。

画像は2005年~2010年のもの。

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